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マルタ島の日々

錦見映理子の旅日記
2017
09,20

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2009
02,28
明日帰るので、ここでのこと点描。

・何度もここで見かけたことのある老夫婦が、またいた。しょっちゅう連泊してる模様。ほとんど自分の家みたいなリラックスぶり。従業員たちに「おうっ!」と片手を挙げてあいさつするご主人は、でっぷり太っていて、アメリカ人みたい。普通のサラリーマンがリタイアした、という雰囲気ではない。何か体を使って仕事してきたような、そんな雰囲気がある。推定年齢70から80。奥様は、対照的に大変ほっそりしていて、杖をついている。ほとんどしゃべる声は聞こえない。
おふたりはいつも、白ワインをボトルで好きなだけ飲むらしく、常にワインがテーブルに冷やされて用意されている。

五時すぎにバーデで、ご主人のほうを二度ほど見かけた。夕方30分ほどバーデにさっと入り、そのあと温泉にさっと入り、そして夕食、という習慣の模様。

・三度ほどここで見かけたことがある老齢の男性を一名、また食事のとき見かける。いつもひとり。でもさびしそうではない。こちらもリラックスムード。食事中、シェフが席まで来て、ながながとお話していた。ウエイトレスさんもひとり、つかまって長くお話。

・斯く言う私も、すっかり何人かの従業員に覚えられてしまい、食事時にはあいさつに来る方がちらほら。私はまだあんな風に自由に振る舞えないので、手短に話をする程度。
なんかもっと、かっこよく振る舞いたいのだが。。。

・よく見かけるといえば、バーデでのみ何度も何度も見ている謎の美女。妙齢(推定35前後)の、かなり美しい人である。長い髪をたばね、常に外のゾーンか、サウナにばかり入っている。いつも一人。あのひとは何者か、なぜいつもバーデに長時間いるのか。他の施設では、一度も見かけたことはない。泊まり客なのか?それとも日帰り客?しかし私がいるとき、たいてい毎日いるから泊まっていると考えるのが妥当だが、なぜ朝も夜もレストランで一度も見たことがないのだろうか?時間が合わないだけかなあ。

・斯く言う私も、誰かに「あの女なにものだろう?」「平日に、しょっちゅう来て泊まってるけど、仕事はどうなってんのか?」「誰かの愛人か」とか思われているに違いない。

・その答えは、ここでも仕事してるんだよう(涙)。

・とにかく今回は仕事に追われていた。前にも仕事した方のエッセイ二冊目で、あまりに面白くて、校正しながら何度も笑う。こういうことは滅多に無い。楽しい、といえばいえるのだけれども、所詮仕事なので、そりゃー大変である。

・毎日仕事を三分の二ほど終えると、バーデに行っていた。十七時から一時間ほど。
休みにきたときとは違って、デッキチェアに座って本を読んだりぼーっとしたりはできず、ひたすらいろんなプールに急いで入り続ける。ジェット気流にからだじゅうを揉まれたり。
出ると、心拍数があがってるらしく、どきどきする。
軽い運動したようになるのかな。

・夜は温泉。まあそれだけでも家で仕事してるよりはいいようなものだが、家よりなんだか眠くなりがちで、つらい。家では寝不足でも仕事中に眠くなることは一切ない。それだけ家では緊張しているのだろうし、ここでは体が休もうとしてしまうのだろう。

・やはりここで仕事するのはなるべくやめたい、というのが結論。

・仕事の前半が終了した日。
夕方ジュゴンがくるのでエステでハワイアントリートメント。例によって「すごい首のかたさ!!」とか気の毒がられる。気持ちよくて、何度か意識を失う。

ジュゴンが新幹線に乗ってやってきた。
バーデに一時間いっしょに行く。
ジュゴンはジェット気流にいろんな格好で当たったりして遊んでいた。子供みたい。

二時間かけてゆっくり食事。ジュゴンは肉が好き。肉をたくさん食べていた。
食べ過ぎだ。。。。

半日だけ、すこしゆっくりできた。

でももっと休みたいよ。。。

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2008
12,29

島に来て二日たった。

海以外何も無い。

家もあまり見当たらない。

着いたのは夜だった。
空港からここまで五分くらい、道沿いには「ざわわ」的な植物がずーっと林立しており、何も見えなかった。真っ暗だった。

このようにまっくらで何もない道を走ったのは、バリ島に行ったとき以来。

海と植物と鳥ばかりを目にするうちに、たった二日で東京が遠くなった。

そのうち、もらえるかわからないけれど、年金暮らしになったら、こんな南の島の海のそばの掘っ立て小屋を借りて、暮らそう。

掘っ立て小屋で十分だ。だって寒くないんだもの。これだったら、服もあまりいらないな、冬服は全部捨ててしまおう。

老人になったら、きっとかなしいだろう。

友達もすこしずつ減っていき、ジュゴンもきっといつかいなくなる。

ついにひとりになったら、島ぐらしだ。

犬とともに、魚と貝をとって暮らす。

昨日、浜辺を歩いていたらわかめ風の海草があったから、海苔や若布もとれるだろう。

歳をとれば、私でも少しは欲望が減るだろう。
減らないかもしれないが、あきらめもつくだろう。

さびしかったりすることには慣れている。

星が見えれば平気だ。

鳥もいる。ツバメに似た小さな鳥が、窓の外をたくさん横切っている。きー、きー、という声の、とんびに似た鳥も、旋回している。

夏になれば濃い色の花が、そこらじゅうに咲くのだろう。

欲望は花に任せて、海を見てぼんやり過ごす。

そうして、何かを待つうちに、何を待っているのか忘れてしまうだろう。

2008
09,13

今日はジュゴンがくるので、午前中にバーデへ。

かわいい3歳くらいの男の子、おじいちゃんにつれてきてもらったんだなと思ってみていたら、「パパ!」と言っている。孫じゃないのか。。。。娘と思っていたのが妻らしかった。

前に一度みたことのある、異様な水着姿の男をまた見た。
失礼だが毎度不気味なのである。
いつも超ミニサイズのビキニに、サングラス。
(だいじな部分がまるっきりわかってしまうような超ミニサイズなのであります。)
よほど体に自信があればいいと思うのだが、彼はおなかがたいへんご立派で、かなりのぶよぶよ状態なのでした。
前はしかもショッキングピンク、今回は白いビキニだった。。。白いとさらに透け透けで、不気味なんですが。。。

11時から13時半までバーデにいた。

あがって部屋で少し休み、14時から最後のエステ。ハワイアントリートメントでうとうとする。

終わってサロンでお茶飲んでたら、同様に施術後のお茶を飲みににいらしたご婦人(推定60から70歳)が同じテーブルに。

話しかけられいっぱいしゃべる。

かなりのセレブらしかった。
ゴールドメンバーになるとどのような特典が海外でつくか、教えてくださる。でも私、そんなに世界中しょっちゅう行かないしな。。。と思いながら教えてもらう。
今度ニューヨークに主人の仕事で、とかしょっちゅう旅される模様。
しかし東京の人で、こんなふうに飾り気なく自慢するでなく、みんな自分のように金持ちと思って話しかけてくるひとって珍しい。関西にはよくいるような気がするが。
適当に話を合わせていた私だったが、娘がロスに棲んでいて、という話の展開になり、俄然興味が出る私。
もうちょっと長く話せばお友達になれるかも、というころ、エステの方が私に用事があって話しかけてきて、カウンターへ。
それを潮に、ご婦人も私も部屋に戻ることに。
ざんねん。。。。もっとロス話を聞きたかった。しかしなんというタイミング。ここに来てずっとロスの本を読んでいたから、呼んだのかしら?
よくいらしてるようなので、いつかまた会えるといいけど。

2008
09,13

朝食後、部屋でうとうとしてしまう。13時からバーデへ。
今日はちょうどよく曇っていて、外のゾーンが気持ちよかった。
弱流のながれているところの縁に腕を預けて、流れに身を任せて海草のようにゆらゆらしていると気持ちよくて、いつのまにか時間がたってしまう。
気づくと縁沿いには私のように海草化している人が増えていた。
老夫婦がなかよく並んで海草になってるのは、ほほえましい。


15分間の水中ストレッチのレッスン(無料)に参加したりしながら、あっというまに15時になった。


上がってティールームにお茶を飲みに行く。ロンネフェルトのブラックトフィーという甘い香りの。
ティールームはすいていて、一人でお茶を飲んでいる人がちらほら。
帰りにライブラリーのPCでメールチェックをしてから、部屋でしばらく過ごす。


持ってきた本の半分しか読んではいないが、やはり家より時間や心のゆとりがあるせいで、資料的なものはじっくり読めてよかった。
おかげでやろうと思っていたことはほぼ完遂。予想以上の収穫。
あとは、歌をちゃんと作れれば満足なのだが。


おとといだったか、たまたまBSを見ていたら週刊ブックレビューのゲストに井上荒野さんが出ていた。
お父さんに「何者かにならなければならない」と子供のころからずっと言われていたというような話をしていた。
何者かになる、というのはいい会社に入るとか結婚してよい暮らしをするとかそういうこととは関係なく、自分のもっともだいじな部分を使って何事かをなすこと、というようなことを語っていらして心に残る。
ただ本を読んだりのんびりしたり休んだりするだけでは、休暇といえども何か足りなくて満足できない気持ちになるのは、そういうことなんだと思う。
 

夕方、本を読んでいるうちに「何事か」したくなり、PCに向かう。


曇っていたのに夕焼けはきれいだった。
半月が、雲越しにぼやーっと見えてきて、遠くの海岸線がきらきらしてくる。
正面の海の向こうに、ちかっちかっと灯台の光が見えた。
敷地内の池で飼っているあひるの、グワッグワッという声が下のほうから響いてきた。

真夜中、星がおどろくほどきれいだった。
30分以上は見上げていた。流れ星もひとつ、見た。

2008
09,10
朝のんだ薬のせいで、昼間ずっと眠くてぼんやりしてしまった。

朝食後、部屋でうとうとしてしまう。12時ごろ起き上がって、骨盤を調整する体操して、お掃除頼んでからバーデへ。
目をさまそうと思って。

しかしバーデで水のなかぐんぐん歩いても、ジェットに打たれても、目はさめないのだった。

デッキチェアでもうとうとしそうになる私。

単に疲れてて眠いんだったらうとうとしていいんだけど、薬のせいでぼやーとするのだとわかっているのでなんだか悔しい。本読みたいのに。

仕方なく、プールサイドレストランでコーヒー飲もうと移動。
プールから、階段上がって水着のままレストランにいけるのである。
服を着てるひとたちも普通に食べたりしているんだけど、プールに近いほうには水着のひとたちが。

水着でケーキとコーヒー二杯飲む。

ちょっと回復した感じも。

またぐるぐる水のなかを歩き回る。
今日は快晴で、日差しが強かったので、外のゾーンには一度しか行かなかった。

部屋に戻って少し休んでからライブラリーでネットなどする。

ライブラリーはおしゃべり禁止なのだが、ホテルのなかの延長のつもりでべらべらしゃべりながら入ってくる人たち(ほとんどがそれは女)もいる。
注意されるまで、それは止まらない。

今日小耳にはさんだ会話。若い女二人、置いてある雑誌をめくりながら。

「ほんとに好きで、つきあってくれって言われたら当然つきあうし、結婚してくれって言われたらするしってくらいで」
「へー」
「ほんと人間として好きって感じだったんですよー」
「うん」
「でも・・・・・・・・(急にここだけ小声で聞き取れず)で、それ聞いたときほんとにすっごいショックで、ある意味失恋っていうか」
(ここで受付の人が寄っていって注意、しーんとなる)

2008
09,09

9時からゆっくり朝食のビュッフェをいただく。
ハッシュドポテト、スクランブルエッグ、ソーセージに焼きトマト、フレッシュサラダをオレンジシャンパンドレッシングで。
マンゴージュースを二杯飲む。
ヨーグルトとフルーツ、ちいさなカップケーキをミルクティと共に。
 

部屋に戻ってすぐ、ライブラリーへパソコン持って行く。


ネットで調べ物とメモ。日記を書いたり。歌をつくろうと少しだけ試みたり。
12時すぎにルームサービスでコーヒーを持ってきてもらう。


13時ごろ部屋に戻り、バーデへ。
例によって歩行浴コーナーでぐるぐる歩き続けたり、泡に包まれたり、ジェットに打たれたり。


水着の手触りがなんだか前と違うということに、ふと気づく。
色もなんだか薄くなってる?
いつのまにか劣化しているのだった。
これ、十年以上前に買った水着だもん。。。当時は数回しか使わなかったとはいえ、去年からここに来るたび着てるし、塩素って生地をいためやすいんだろう。しかもここのバーデの水は、塩分の強い温泉水を混ぜてあるし、ジェット気流にあれだけさらされれば、傷みも早そう。


というわけで、破けたりしたら大変!とバーデあがってから水着をショップに買いに行く。
おばさん用みたいのばっかし。。。。と思ったけど全部スピード社製品で、質は良さそうであった。
仕方なく、中でもかわいい感じのピンクの柄のを買う。


結局バーデには、本を読んだりぼんやり考え事をしながら、二時間以上いた。


いろんなインスピレーションが湧いてきて、行く前に不安に思っていたことが消し飛んだ。


枠にはめて無理やり何かを決めようとしなくてもいい、と思えてきた。


掘り下げていきたい場所をどんどん掘るようにしていけば、おのずと形になっていくかも、と思ったり。


まあここでできるだけのことはしてみよう、と思うのだった。


夕食は昨日よりおいしく感じられ、たっぷり食べた。水に浸かるのって思ったより体力使うのかなあ。
席に案内してくれたボーイさんが「今日はライブラリーでゆっくりされましたか?」と言うのでびっくりしたが、彼が私の頼んだコーヒーを作ってくれたらしかった。このひとは洗練された物腰とサービスぶりで、とても感じがよい。


夜、温泉からあがってバルコニーに出たら、星がたくさん見えた。
眼下には、遠い海岸線につづく道路のヘッドライトの連なりが、オレンジのきらめく点線となって、大きくカーブを描いてつづいていた。

2008
09,09

ドーム状の天井は、すりガラスのような半透明で、格子の骨組みが見えている。やわらかい光が降りそそいでいる。海外の駅のようだ。
二時間程度で着くような近場なのに、遠くまで来たような気がするのはそのせいか。
 

チェックインしてすぐ、エステサロンへ行った。


オイルマッサージにヘッドマッサージをプラス。


前にもやってもらったことがある、色白のきれいなひとが担当してくれた。


首と肩が異常なほどごりごりしていた。頭皮も、首肩の影響でかたくなっている、とのこと。


でも全身オイルまみれになってほかほかした。


赤いハーブティをいただいてから、部屋に戻る。16時になっていた。


そのまま部屋で夕食まで休んだ。体じゅう、しっとり。


窓の外に時折鳥のとぶ姿がみえる。鳴く声もよくきこえる。
大きなトンボも飛んでいた。


ヘンリー・ダーガーの画集の後半の、マグレガー博士(精神医学の知識がある美術史家らしい)の詳細な解説を読んだ。


面白い!!
文章もいい。


知りたかったことがかなり書いてあった。
うーむとかふーむとか声が出てしまうような興味深い所に付箋貼っていったら十数か所にのぼった。
この本はやはり買おう。


私は彼の生い立ちや教育を受けていないとか死後膨大なその創造物が偶然発見されたことなどには特に興味はない。ただ、彼の作ったものが何であるか、知りたいだけ。


「私たちはここで、ダーガーが天才であったのに抑圧された可能性を、潜在的には知性の面でも創造性の面でも巨人だった可能性を考慮してみるべきである。それなのに、環境、家族、養育や教育、口を糊する手段、自らのアイデンティティに対する感覚といった全てが、成長や発達の可能性を阻むように働いたとしたら、この天才に何が起きるだろう。結果、感覚、情緒、知性、あらゆる面に大穴があいてしまうことは避けられまい。
 私が申し上げたいのは、できれば滅多にないことを願うそうした状況においても、現に破壊されないし、また破壊されえないのが天才の天才たる所以であるということだ。しかしながら、奇妙な方向へ捻じ曲げられはする。」


その捻じ曲げられ方に、興味があるのだった。過酷だった子供時代とその後の人生にもかかわらず、その作品もかなり奇妙でひどく残酷でサディスティックな面もあるにもかかわらず、なぜあのようにかわいくてきれいなのか。
もっとおどろおどろしく目を背けたくなるようなものであってもおかしくないのに。


特に気になるのは、ヴィヴィアンガールズのような戦闘少女的なものを男性がつくる場合に、必ずといっていいほど付随しているはずのものが、全然感じられないこと。
いや、過激にそれが表現されているといえばいえるのであるが、でも何かがこれまで見たことのあるものと全然違う。
彼に何が欠落しているのか、あるいは過剰に存在しているのか。


夕食前、突然どしゃぶり。ガラス張りの窓に面した席で食事をとりながら、フラッシュのようにときおりはしる閃光を見ていた。


夜、ジュゴンと電話。常より離れているジュゴンの声は、明るかった。

2008
05,16

«5月16日»

今日は夕方からエステの予約をしたので、午前中からバーデに行く。二時間半ほど。
『アフリカの日々』を最後まで読んだ。前半の動物たちの美しさもいいけど、やはり後半がすばらしい。
デニスが事故で死に、農園経営に失敗してついに手放さねばならなくなったあとで、「いまは自分を甘やかす時期ではない。」と思うあたり。

「ついに立ち去る日がきたとき、私はひとつ奇妙なことを学んだ。自分では想像もつかないようなことが、この世ではおこり得るのだ。」


*


ここで見た人物点描。


メインダイニングにて、夕食時。
自分の席がどこかわからなくなり、お盆に食べ物を満載したままうろうろする老人。
満載のお盆をひっくり返してしまう老人。
お年寄りにはビュッフェは大変であるということを学ぶ。


若い男女のカップル。女は黒いスリップドレスだが、小柄でうすっぺらい体つきのため、一瞬小学生が下着で来てしまった、ように見えてやや異様。
ざわざわした場所なのに、食事中ずっと男の声が馬鹿でかい。
女の声は全く聞こえない。
朝食も一緒になったが、朝から彼の声はでかかった。


バーデにて。
中年の男女のカップル。女がはしゃぎすぎていて、異様。
男はゆるみきった体に、ちっちゃなビキニを穿いているが、黄色いビキニであるせいで、ぱっと見ると全裸に見えて、これまた異様。
女の水着は黒地にショッキングピンクの花柄。
外のゾーンで女が男に水のなかでお姫様抱っこされて、きゃーきゃー言っていた。
このカップルは男の声は全く聞こえず、女の声ばかり響いていた。


外国人の五歳くらいの女の子。しましまの薄いピンクのつなぎの水着。頭の両側でちょこんと金髪を結んでいる。
ものすごくすばしこい。
いろんなプールを走り回ってどんどん移動する。
ママがずーっと名前を呼び続け、「wait!wait!」と言いつづけていた。


歩行浴ゾーンにて、白髪の老人(男)。一緒に歩いている女はかなり若く、初め孫か娘かと思っていたが、観察した結果どうやらカップルらしかった。
老人は、首にシルバーのネックレス。女は色白できれいな顔立ちだが派手な感じではない。
男「足がいたい」としかめ面だが、女に「がんばって」と励まされて無理やり歩いている。
「これかなりの運動量だよ、はあ」
「そうね(ぐんぐんはりきって歩く女)」

*

エステでハワイアントリートメントを受けたあと、しばらく部屋で休んだ。
テラスの前に椅子を置いて、海に出ている小さな白い舟の行方を追った。
少しずつ暮れて、光の量が減り、景色全体が白っぽくなった。

2008
05,15

«5月15日»

朝食に、今回初めてオムレツを作ってもらって食べる。
「卵ステーション」というコーナーがあって、好きなように卵料理を作ってもらえるのだ。
オムレツでけっこうおなかいっぱいになるので、今朝は炭水化物はとらなかった。
野菜とフルーツはたっぷりとる。

午前中は、パソコンと本、原稿用紙など持って、例によってライブラリーへ。
昨夜なんとか作った五首を清書して、封筒に入れる。(根性無しだ。来る前はあんなにやる気満々だったのに。。。)

フロントで郵便を出すお願いをして、向かい側にあるティーラウンジにお茶を飲みに行く。
ちょうどお昼に近い時間なのにすいていて、ソファの四、五人は座れそうな席にひとりでゆっくり座らせてもらう。
のんびりお茶を飲む。ここはロンネフェルトのお茶がすべてそろっていて、選ぶのに迷ってしまう。
今日は、オレンジの香りのするジャワティを選んだ。オレンジの苦味がかすかにするのに、後にはほんのり紅茶の甘みが残って、おいしい。


14時半から17時まで、今日はバーデに二時間半もいた。
歩行浴10分、泡につつまれて10分、ジェットの出てくるとこに10分、流れるプールに10分、と全部少しずつ入っては、しばらく休憩、をくり返すだけで、あっというまに時間がたってしまう。
運動した感じが全然しないのに、水から上がるとけっこう心拍数は上がっていて、心地よい。からだが喜んでいるかんじ。

デッキチェアで目を閉じて休む。すこしうとうとする。
本も読む。
あることについてのメモもとる。
行き詰ると、また水に入る。外の流れるプールで、また海草になる。
空を見上げると、ツバメらしき小さなすばしこい鳥がたくさん飛び交っている。すぐ頭のうえを通る。燕尾服そっくりの、黒いとがった翼に、白いおなか。かわいい!
水に揺られながら、ずっとツバメを長い間目で追っていた。


ここに来て今日やっと晴れて、緑も空もきれい。鳥の声もたくさんしている。五月の山と海を堪能する。


バーデに長くいると、特に運動したつもりもないのに、おなかがとてもすいて、夕食がおいしく食べられる。
今日は一番たっぷり食べた。

鱸のグリルがおいしかった。オッソブーコなんかもあって、少しだけ食べた。
いろんな魚介のおいしいとこだけぎゅうっと絞ったみたいな、ブイヤベースも。

デザートもたっぷり。メロン、パパイヤ、パイナップルなどのフルーツ。杏仁豆腐。ニューヨーク風チーズケーキ(下のとこがクッキー砕いて固めてあるアメリカ人が好きなやつ。なんていうんだっけ)。ティラミス。ヨーグルトパンナコッタ。桃のゼリー。

下げに来たボーイさんに「おいしかったです。。。」とにこにこしてしまった。
今日はツバメいっぱい見た、と話すと、このへんに野うさぎがけっこういる、朝なんか、そのへん走ったりしますよ、と窓の外を指す。
見てみたい!!

夜、遠く小さくかすかにきらめく海岸線の道を走る車の光を見ていた。
名残惜しい。明日、ついに最後の日。帰りたくない。。。。

2008
05,15

«5月14日»

起きたら雨がざーざー降っていた。


いつも通り九時に朝食をとりに行く。
今朝は、レタスの炒飯がおいしかった。


ここにいる間は、昼食はとらない。朝も夜もビュッフェでたっぷり食べるため、昼食べなくても大丈夫なのだ。


部屋に帰って、今日はうたたねしないようにすぐパソコン持ってライブラリーへ。
ここのライブラリーは、パソコンコーナーと、一人用の仕切られたデスクがいくつかと、ビデオを貸してもらって見られるコーナーとがある。
ビデオコーナーには、モニターの前に二人くらいで座れるゆったりした椅子が備え付けられているブースがいくつかある。
私はいつも延長コードを貸してもらって、一人用デスクでパソコンを使ったり、本を読んだりしている。


図書室なので、一応私語は禁止になっている。
しかし今日はビデオコーナーから、むーむむーむーむー、と何度か鼻歌が流れてくるのだった。
そして、時折「あはははは」という笑い声。
しまいには、ぐすっぐすっと鼻をすすり、泣いている気配までするのだった。
そして「ありがとうございましたー」と受付のひとに明るくビデオを返すおじさん一名。
いったい何を観ていたんだろう。。。。


一時間半ほどで部屋に戻り、午後二時にバーデ。
今日は二時間半もバーデにいた。
ノートを持ち込み、メモをたくさんとった。水蒸気で、少しノートがよれよれに。


『アフリカの日々』を読み継ぐ。
これは映画の原作になった本だが、映画では恋愛関係にあったデニスは、この本では恋人かどうかわからない。
でも、デニスがカレンと一緒にいるとよくライオンに出会った、というエピソードはすてきだ。
デニスが何ヶ月に客を引率しても、ライオンに会うことができなかったりするのに。
二人がしょっちゅう飛行機に乗って大地を見下ろすエピソードも、ダイナミックで、いい。


今日の夕食で心に残ったもの。
地鶏のグリル、グリーンピースソースにキャラメリゼした胡桃添え。
香ばしく焼いた鶏の味がぎゅっと凝縮されていて、グリーンピースの甘みがほんのり。最後に胡桃を食べると、かりっと軽くて苦味のある甘さが口にうれしい。

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錦見映理子(にしきみえりこ)
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